ATCに関するうんたらかんたら

せっかくなので、「鉄道車両のしくみ」風に。

あくまでもこれは「GSSP!」の別コラムです。

「鉄道車両のしくみ」ではありませんから、念のため。

だから、背景もGSSP!でオレンジ系統なのですよ。

さて。

今回の事象は、いわゆる「頭打ち」で発生した模様。

電GO!新幹線編とかTS九州新幹線をやった人なら必ず経験してると思うけど、

これは、ATC信号に対して速度が越えた時(信号170で速度171km/hになったとき)

自動的にATCブレーキがかかるものが、所定よりも高い速度でブレーキがかかったということ。



ちなみに、最高速度に対しては扱いが違って、

信号270でも実質的には274km/hまで出せます(275km/hでATCブレーキがかかる(頭打ちする))。

これは、271km/hで作動させると、

270km/h走行中に下り勾配とかの自然加速で越えてしまうとすぐにブレーキがかかって減速してしまい、

実質的なロスにつながるから。

信号285では、290。

信号300では、305で頭打ちします。

ただしあくまで最高速度に対する扱いであり、500系であれば信号300では305km/hで頭打ちしますが、

信号275の時は276km/hで動作します。(だから運転がうまい人は304km/hで爆走出来る)



今回は「加速中」に「空転」が発生し、「頭打ち」した時に起こった模様。

これは、空転をした時に速度を正しく補正するためのプログラムにバグがあって、

実速度よりも低い速度をATCに出力して、

その誤速度情報が「171km/h」になった時(実速度では178km/hだった)に頭打ちしたということ、だろうな。

なので、230km/hで走行中に信号170を受信してATCブレーキが動作しなかったとか、

ATCブレーキはかかったけど178km/hで緩解したとかいうわけではないみたいです。

なので、ATCによる自動的なブレーキがかからなくなるわけではなく、

運転保安制御の根本に影響を与えるものではありません。

一部報道された「制御できず」ではなく「ATC制御の信頼揺らぐ」ことでもありません。

ご安心ください。

一部編成に搭載されていた東芝製のプログラムミス(要するにメーカー責任)だったんだけど、

デジタルATC対応編成に関しては全ての編成でこの機能を21日までに殺しました。

この機能を停止することによる運転制御には大きな影響は与えません。

なお、速度計速度はある軸に付けられている速度発電機によって出力されますが、

その軸(というか車両)の車輪径は

基本的に新品径(詳しく言うと300系以降は860mm)を使うことになっています。

なお、車輪研削等で車輪を削った場合は、きちんと車輪径を計測し、

その数値をATC装置で設定して補正を行う(この補正を行うのは今回のとはまったく別のものです)ため、

実速度と速度計速度では誤差がまったく出ないようにしてあります。

また、他の軸に関しても、

車輪径に応じて力行出力・ブレーキ出力を行うため、

車輪研削を行った際は必ず設定を変更しています。

なお、車輪が削れるのはほとんど車輪研削によるもので、走行中では極わずかしか削れません。


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